1/22ー2/4に執刀した手術は、①白内障手術 38件、②白内障硝子体同時手術 9件、③硝子体単独手術 1件でした。1/22に終日手術を行ったことと、金曜日の手術もあったことから、件数の多い期間となりました。

さて、表記のファリシマブですが、2022年に加齢黄斑変性(nAMD)と糖尿病黄斑浮腫(DME)に対して保険収載がされ、保険治療として使用できるようになりました。ファリシマブは血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)およびアンジオポエチン-2(Ang-2)の働きを阻害するバイスペシフィック抗体であり、nAMD、DMEに関与する2つの疾患経路を阻害することで効果を発揮すると言われています。では、これまで主に使用されていたアフリベルセプトと比較して効果は差があるのでしょうか?今回はDMEに対してのファリシマブの有効性について見てみたいと思います。

2023年12月に、アメリカの眼科トップジャーナルであるOphthalmologyに、DMEに対するファリシマブとアフリベルセプトの2年間の治療成績を比較した第三相臨床試験(YOSEMITE試験、RHINE試験)の結果の論文が掲載されました(Faricimab Treat-and-Extend for Diabetic Macular Edema: 2-Year Results from the Randomized Phase 3 YOSEMITE and RHINE Trials)。この臨床試験では、①ファリシマブ6mgの8週ごと固定投与の群、②ファリシマブ6mgのT&E投与(Treat & Extend:投与後に再燃までの期間を見ながら投与間隔を延長していく方法;今回の試験では投与間隔最長16週)の群、③アフリベルセプト2mgの8週ごと固定投与の群、の3群間で視力と中心網膜厚の変化、浮腫のなくなった割合を比較検討しています。結果は、視力は2年間で3群とも優位に改善し、3群間で有意差は見られませんでした。中心網膜厚も3群ともに優位に改善し、ファリシマブ8週固定投与群はアフリベルセプト8週固定投与群より優位に中心網膜厚が改善する結果でした。ファリシマブT&E群とアフリベルセプト8週固定投与群は有意差は見られませんでした。中心網膜厚の結果と相関して、浮腫がなくなった割合もファリシマブ8週固定投与群でアフリベルセプト8週固定投与群より優位に多い結果でした。安全性・副作用も3群間で特に有意差はありませんでした。

このように、ファリシマブ6mgはDMEにおいてアフリベルセプト2mgと同等以上の効果が期待できると考えられ、また注射回数も比較的少なくできることが期待できることから、今後のDME治療の主役になっていくものと思われます。一方で、アフリベルセプトも今後8mgの高用量製剤が使用できる見通しであり、安全性も2mgと同等と言われていることから、更に治療成績の改善や注射回数が減らせる可能性が期待できます。DMEは長期に渡って治療が必要なことが多く、また治療不応例も稀ではないことから、治療の選択肢が広がり、治療成績が向上することはとても望ましいことと思います。