2026年6月に執刀した手術は、①白内障手術 89件、②白内障硝子体同時手術 22件、③硝子体単独手術 6件、④白内障手術+緑内障手術 1件(線維柱帯切開術)でした。

さて、黄斑前膜では左右の眼で物の大きさが違って見える「不等像視」という症状がよく見られます。大きく見える場合は「大視症」、小さく見える場合は「小視症」と呼ばれますが、黄斑前膜においては大視症の方が頻度が多いと言われています。黄斑前膜の手術において、これまで「不等像視は改善しづらい」という報告が多かったのですが、2026年にJournal of Clinical Medicineというジャーナルに、黄斑前膜の手術における不等像視の変化を、メタアナリシスで検討した論文が報告されました(Changes in Aniseikonia in Patients with Idiopathic Epiretinal Membrane Treated with Pars Plana Vitrectomy: A Meta-Analysis. J Clin Med. 2026)。メタアナリシスは、単独のスタディと比較すると、信頼性が高いと言われていますが、ではこの論文では、不等像視はどの程度改善したのでしょうか?

10研究・456眼をまとめて解析

今回の研究では、特発性黄斑前膜に対する硝子体手術を受けた456眼を対象に、不等像視の変化が検討されました。その結果、術後1か月から12か月まで、いずれの時点でも統計学的には有意な改善が認められました

時期不等像視変化
1か月−1.09%
3か月−0.81%
6か月−0.89%
12か月−1.13%

しかし一方で、サブグループ解析で6か月以内の成績を報告した研究群での解析では、不等像視の優位な改善は見られなかった、という結果でした。この結果は矛盾するかのように見えますが、「全ての研究で、同じ時点での結果を検討しているわけではない(その時点のデータが存在する研究だけを集めて、術前後の差を計算した)」ため、このような結果になり得ます。術後早期から改善する可能性がある一方で、6か月以内の短期成績報告のみでの解析では改善なしという結果であるため、不等像視の改善には時間がかかる可能性が高いと解釈するべきではないかと考えます。

「有意差あり」=「劇的に改善」ではない

また、ここで重要なのは、改善量が比較的小さいことです。以前のブログ「黄斑前膜とQOL」でも述べた通り、一般的には、

  • 3%を超えると両眼視に影響が出やすい
  • 5%を超えると複視の症状が強くなる

とされています。そのため、平均1%程度の改善が、明らかな自覚症状の改善につながるとは限りません。自覚的には、両眼で見た際の変化がほとんど感じられない可能性もあります。

視力やOCTだけでは予測できない

今回の研究では、

  • 視力の改善
  • 網膜厚の改善

と、不等像視の改善との間には明確な相関がありませんでした。つまり、「視力が良くなったから不等像視も良くなる」とは必ずしも言えないということです。

まとめ

今回のメタアナリシスから言えることは、「黄斑前膜の手術後、不等像視は平均すると少し改善する。ただし、その改善量は少なく、改善に時間もかかる」ということではないかと考えられます。そのため、不等像視が出始めた場合には、視力が良いからと言って症状が悪化するまで様子を見ることは望ましくないのではないかと思われます。