12/4ー12/17に執刀した手術は、①白内障手術 25件、②白内障硝子体同時手術 6件、③硝子体単独手術 3件、④緑内障手術(線維柱帯切除術) 2件、でした。この期間には、武蔵野市の眼科様と、中野区の眼科様より裂孔原性網膜剥離の患者様をご紹介いただき、緊急で手術を行いました。また、線維柱帯切除術を行った患者様は、多剤併用点眼治療でも眼圧管理不十分なため多摩地区の総合病院からご紹介いただき、手術となりました。
さて、近年日本のみならず世界中で近視人口が急速に増加しており、社会問題にもなってきています。同時に強度近視・病的近視の有病率も増加しており、特に病的近視は視神経や網膜にも合併症を生じて高度の視力低下を生じ得る近視であり、病的近視が増加することは極めて懸念されています。では、世界的に近視や強度近視はどれくらい増えてきているのでしょうか?
2016年に、アメリカの一流眼科雑誌であるOphthalmologyに、人口ベースでの観察研究を元にしたメタアナリシスによる、近視(-0.5D以下と定義)と強度近視(-5.0D以下と定義)の地域ごとの有病率予測と、有病率の将来的な変化を報告した論文が掲載されました(Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050. Ophthalmology 2016)。この報告では、2010年時点で世界の近視人口は19.5億人であり、そのうち強度近視は2.8億人と推測しています。
また、2050年時点では近視人口が47.6億人、強度近視人口が9.4億人と予測しています。特に日本を含む東アジアでの有病率の高さが顕著であり、東アジアでは2010年時点で近視人口が既に47.0%と約半数を占め、2050年には65.3%まで上昇すると予測されています。
近視の有病率の高い日本では、既に人口の半数以上が近視であると推測され、強度近視人口も10%程度ということになります。現代社会における屋外活動頻度の低下と近距離作業の増加が近視人口増加の主な原因であると考えられていますが、近視人口増加による社会的、経済的損失は極めて大きく、特に病的近視合併症では不可逆的で高度な視機能低下につながることも多いため、近視進行を抑制していくことは益々重要性になってきていると思われます。