先週末は3連休で、久しぶりに1泊2日で旅行に行ってまいりました。猛暑日で日差しも強烈でしたので、とても日焼けをしてしまいました。リフレッシュできたので、また頑張っていきたいと思います。

7/10-7/23に執刀した手術は、①白内障手術 14件、②白内障硝子体同時手術4件でした。この週は高度な白内障の患者様がいらしたため、「水晶体嚢外摘出術(ECCE)」という手術を行いました。現在白内障手術は小切開で行う超音波乳化吸引術が主流となっております。以前は硬い白内障だと破砕が難しかったり、超音波発振量が多くなり角膜への負担が増えたりしましたが、近年では機器の性能も向上してますので、高度な白内障であっても超音波乳化吸引術で完遂できることが多くなってきています。しかし、高度な白内障に加えてチン小帯脆弱などの条件が重なると、超音波乳化吸引術では難しいケースがあります。今回の患者様は下の写真のように水晶体が茶色くなってきており、またわずかに動揺もしていたため、チン小帯脆弱も疑われる状況でした。

このような白内障を超音波乳化吸引術で行おうとすると、水晶体が固く破砕が大変なためチン小帯への負担も大きくなり、チン小帯断裂を生じて水晶体が眼の奥に落下する可能性が高まります。そのため、本ケースでは創口を拡大して、水晶体嚢とチン小帯は残し、水晶体の中身のみを丸ごと摘出する「水晶体嚢外摘出術」で手術を行いました。

創口を10mmまで拡大した後にフックと輪匙で挟んで大きな核を摘出した。

超音波乳化吸引術では2mm強の創口で手術を行いますが、ECCEの場合は9-10mm程度まで創口を広げる必要があります。そのため眼への負担は大きいように思われますが、硬い水晶体に対して超音波を多量に使用することで生じる角膜内皮障害を避けられる、チン小帯脆弱でも術中断裂のリスクが低い、などの利点もあり、眼内レンズを通常の固定方法である嚢内固定できる可能性が高まります。本ケースでも水晶体嚢の損傷はなく、眼内レンズは嚢内固定で終了できました。

ECCEは現在は行われることのない昔の手術というイメージがありますが、白内障の状況によっては最善の選択肢であることもあり、また術中合併症時に行う必要が出てくることもあるため、白内障手術を行う上では必ず習得しておく手術だと思われます。