今週も1週間終わりました。今週は日曜も仕事をしており、やや仕事量の多い週でした。

6/26-7/2に執刀した手術は、①白内障手術 6件、②白内障硝子体同時手術 5件、硝子体単独手術 1件、と、硝子体手術の比率の多い週でした。

さて、先日国内のグループから、近視性牽引黄斑症に対する硝子体手術において、タンポナーデ(空気やガスなどで網膜を押さえる処置)の有無による最終的な視力の差を検討した論文が報告されました(Efficacy of Vitrectomy With Tamponade Versus No Tamponade for Myopic Traction Maculopathy: A Multicenter Study (SCHISIS Report No.1))。この報告では、タンポナーデを行った群も行わなかった群も手術前より視力は改善したものの、タンポナーデを行わなかった群でより術後視力が良好であったという結果でした。一方で網膜分離症の寛解までの期間は、タンポナーデを行った群でより短かったという結果でした。

私も近視性牽引黄斑症の手術は東京医科歯科大学在籍時から相当数行い、論文もまとめましたが(業績10)、タンポナーデはほとんど行うことがありませんでした。理由としては、網膜分離や中心窩網膜剥離の改善にタンポナーデは原理的に不要であることと、タンポナーデを行うと術後に体位制限を要して患者さんの負担が大きくなるためでした。最終的な視力に関して差は生じないものと思っていましたが、タンポナーデを行わない方が視力が良い結果になることは予想外でした。手術中に網膜裂孔や傍血管微小網膜円孔が見つかることもありますので、全例でタンポナーデなしで手術を終えられる訳ではありませんが、今後手術を行うに当たって念頭に入れておくべき報告だと思われます。