6月に執刀した手術は、①白内障手術 77件、②白内障硝子体同時手術 12件、③硝子体単独手術 5件、④硝子体手術+眼内レンズ強膜内固定術 2件(いずれも眼内レンズ脱臼)、⑤白内障手術+緑内障手術(流出路再建術) 1件でした。
さて、インテンシティの使用経験が蓄積されてきたため、インテンシティの使用感について述べたいと思います。
インテンシティはイスラエルのHanita社から販売されている多焦点眼内レンズで、無限遠、133cm、80cm、60cm、40cmの5ヶ所に焦点の合うように設計された世界初の5焦点レンズです。
フーリエ変換に基づいて設計された回折構造であるDynamic Light Utilization(DLU)という独自のメカニズムを使用することで、光効率を最大化しており、光エネルギーのロスを6.5%まで低減しています。よく比較されるA社の3焦点レンズが12%、B社の3焦点レンズが14%ですので、インテンシティが非常に光効率が非常に良いことが分かります。また、下のグラフのように遠方から40cmまで視力の落ち込みがほとんどありません。
さらに、多焦点特有の見えづらさの原因となるハロやグレア、スターバストなどの異常光視症も非常に少ないと言われています。
2024年6月末までの使用経験に基づいた感想ですが、遠方はほぼ全例で裸眼視力1.0を得られ、さらに90%程度で近方視力も1.0を達成できており、3焦点レンズと比較しても遠方から近方まで非常にバランスよく視力が出るレンズです。また異常光視症が気になるという訴えをされる患者様は幸い今のところおらず、非常に見え方の満足度の高いレンズだと感じており、体感としても、3焦点レンズより術後ご満足いただけている患者様の割合が高い印象です。乱視矯正レンズのラインナップもあるため、乱視矯正が必要な患者様にも使用可能であることも利点です。
一方で、海外からの輸入となるため納期に時間がかかることや、強度近視には対応度数がなく使用できない、自由診療であるなどのデメリットもあります。
見え方の質にこだわる方にとっては、非常に有力な選択肢のレンズであるのではないかと思われます。