6月2日に開院致しましたが、手術希望の患者様に多く受診していただいており、今週は硝子体手術を中心に行いました。今週執刀した手術の内容は、

①白内障手術 4件

②白内障硝子体同時手術 3件

③硝子体手術+眼内レンズ強膜内固定術 1件

でした。③の患者様は水晶体が脱臼し硝子体腔中に落下しかかっている状態であり、通常の白内障手術では対応できない方で、硝子体手術が可能な施設ならではの手術と言えます。硝子体切除を行った後、パーフルオロカーボンという薬剤を使用して水晶体を挙上し、超音波乳化吸引術で処理を行いました。その後眼内レンズをダブルニードル法で強膜内固定しました。

眼内レンズ強膜内法は2010年頃から普及し始めた手法で、それまで眼内レンズのループを糸で毛様溝に固定する眼内レンズ縫着術が主流でしたが、強膜内固定法は眼内レンズのループ自体を強膜内に埋め込むことでより安定した固定が可能な手法です。黎明期は内境界膜セッシを用いてループを把持して眼外に誘導する方法が用いられていましたが、針の内腔にループを挿入して出す方法(ダブルニードル法)が考案されてからは、ダブルニードルが主流になっています。当時は結膜を切開して強膜を露出し、眼外に誘導したループを強膜内トンネルに埋め込んでいましたが、その後ループ先端をフランジ様に処理して埋め込む方法(フランジ法)が考案され、結膜の切開が不要になり手術時間の短縮と結膜への侵襲が低減できるようになりました。術者の練度にもよりますが、レンズを挿入してから強膜内固定を行うまでの操作であれば5分程度でできるようになっており、結膜切開と強膜トンネル作成・埋め込みで30分程度かかっていた当時からすると、術者にとっても患者様にとってもとても楽な手術になったという印象が強い手術です。

今後、他の手術でも更に進歩を遂げていくことが期待されます。